子供時代に読んだシャーロックホームズはあまり好きな探偵ではなかったのですが、 ＢＢＣのドラマの「シャーロック」を見て、あのふたりの過ごした空間に浸ってみたくなり、 予定に入れました。
少人数しか入れないため入場制限もあり、と聞いて朝いちで行きました。

メトロのベーカーストリートに着くとさっそくホームズに会えます。
壁にタイルでシルエットが、そしてそのタイルも細かいホームズ柄という凝りよう。
切符売り場や壁などあちこちのホームズシルエットを見ながら地上へでると、そこには銅像までありました。
横のギフトショップでチケットを購入して、入口のおまわりさん風の方に渡して入場します。

展示スペースは2階から5階、当然のことながら、原作のホームズに沿ったものになっていますので 興味ある所だけを重点に見ました。
依頼者が訪れるおなじみの書斎は２階、暖炉にバイオリン、様々な小道具、 ジョンの机らしきものもあります。
一つ一つの展示が細かいですね。

ベイカー街を見下ろす食卓はクラシカルであのふたりには似合わないけれど、そこは元祖ホームズです。
階段の壁にはシドニー・パジェットの挿絵、最後の事件の滝のシーンもありました。

3階のジョンの部屋とハドソン夫人のお部屋には、 ホームズが調査に使ったアイテムや事件解決のカギになった証拠などが飾られています。
身の回りのアイテムの説明書きは日本語でも記されていました。

4階にはホームズとワトソン博士をはじめとする蝋人形が勢ぞろい。
「犯人は二人」「赤毛連盟」「唇のねじれた男」「まだらの紐」などなどの名場面を再現していましたが、 タイトルぐらいで内容はうろ覚え、しっかり写真は撮ったので帰ってから見比べながら読んでみましょうか。

「シャーロック」にも出てくる、「最後の事件」のモリアーティ教授と、 「ボヘミアの醜聞」のアイリーン・アドラーはわかりましたよ。
5階は小さなバスルームと物置です。

ベーカーストリートからベーカールー・ライン でウォーウィック・アベニュー駅へ移動し、 駅を出て少し歩くともう運河、ここからカナルボートに乗ります。
途中ロンドン動物園にも止まり、カムデンロックまで、約50分のボートの旅です。
この運河、以前は実用的な運搬用の水路でしたが、今はたくさんのナローボートが浮かび、 ディーゼル発電機完備で、キッチン・トイレ・シャワーまであるので、 住んでいる人、お店を開いている人、レンタルで楽しむ人、と いろんな使われ方をしています。
宿泊付きのクルーズもあるそうで、日程に余裕があれば乗ってみたいところでした。

カムデンロックまでの遊覧船は２社で運行されており、予約もできるのですが、 時間が読めないので、行って並ぶことにしました。
日曜日なのでけっこう並んでいましたが、なんとか11：00の便に乗れました。
船はゆっくりと水路を進みます。

停泊中の船は、植物があったり、外で過ごすためのテーブルセットが置かれていたり、 住む人の生活を思わせます。
真っ赤な水上レストランもありました。
陸上には、教会やりっぱな邸宅、ロンドン動物園では、あの巨大な鳥かごもしっかり見えました。

動物園で家族連れがけっこう降りて、そこからほんの少しで、カムデンロックに到着です。
カムデンロックはその名の通り、カムデンタウンの水門、街には有名なカムデンマーケットがあります。
原宿プラス青空市場、といった感じでしょうか。
いえ、もうちょっとイギリス的、パンクっぽいかな。
次の予定があるので、メトロの駅までキョロキョロ見るだけ観光しました。

大英博物館に行く前に、遅めのランチ、ウォレンストリート駅で降りてカフェに寄ります。
ここはBBCのドラマ「シャーロック」の撮影に使われた スピーディーズ・サンドウィッチ・バー＆カフェ。
隣の黒いドアがふたりが住むフラット、221Bという設定です。

店内には、実際に撮影していたときの写真なとが貼ってあり、 まだまだ世界中からファンが訪れているようです。
イギリスのベイクドビーンズが好きなわたしはイングリッシュブレックファーストを、 夫はシャーロックブレックファーストを注文。
でも相当なボリュームで、ひとつをシェアすればよかったと後悔しました。

腹ごなしを兼ねて、大英博物館まで15分ほど歩きました。
別名泥棒博物館とまで言われてしまうほど、世界各地、特にエジプトやメソポタミアなどの 発掘収蔵物がたくさんあります。

入場料無料、撮影自由ですが、のんびり見ていては一日かかっても終わりそうもないので、 事前にお勧めの収蔵物を調べて、見たいものをピックアップ、 効率よく回れるルートマップを作っておきました。
マップをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
　　　　⇒１F・ ２F（別ウィンドウが開きます）

必ず見たいものを26点、後は通りがかりに見るという作戦でなんとか90分で回りましたが、 もう少しゆっくり見たかったところもあります。
もちろん、ロゼッタストーンのレプリカはしっかりなでなでしてきましたよ。

ミュージアムショップも駆け足。
あのダックのクレオパトラバージョンも気になりますが、 一番欲しくなったのは、バステトのぬいぐるみ。
あまりの可愛さに何度も手を伸ばしかけたけれど、まだ先は長いのです、 荷物はなるべく増やしたくありません。
諦めて、コンパクトなロゼッタストーンのＵＳＢだけにしました。

つぎのウォレスコレクションまでも、歩きです。
アフタヌーンティーを最終時間16：30で予約したので、時間まで絵画鑑賞の予定なのですが、、、。
いっぱい歩いてお腹はこなれてきたけれど、足がだいぶ疲れてきましたよ。
でも、頑張ります。

こちらは、リチャード・ウォレス卿らによって、18〜19世紀に収集された芸術作品を ウォレス卿のお屋敷に飾ったままの状態で見ることができる美術館です。
レンブラントやルーベンス、ヴァン・ダイクなど、巨匠の絵画もたくさんあるのですが、 外部には作品を貸し出さない方針なので、こちらでしか見られない作品ばかりです。

収蔵絵画で一番有名なのは、フラゴナール作「ブランコ」
2階のピンクのお部屋を通り、緑のお部屋の先、オーバルドローイングルームに飾られています。
でも、同じお部屋のフランソワ・ブーシェの「ポンパドール夫人」も素敵でした。
このかわいらしい雰囲気、いいですよね。

絵画以外にも、家具や陶器、鎧など幅広いジャンルのギャラリーがあります。
２階の書斎にはルイ16世時代の収蔵品、マリー・アントワネットの家具も置かれていました。
愛用していた書き物机もありましたよ。

ざっと回って30分ほどのこじんまりしたコレクションですが、ずっと歩き続けていたので、 だいぶ疲れてしまい、鎧などの展示はパス。
予約時間には少し早かったのですが、カフェで聞いてみたら、大丈夫とのことで、 アフタヌーンティーをいただくことにしました。
こちらの紅茶は鉄瓶で出てきます。
貴族の館の豪華な雰囲気に浸りながら、優雅なティータイムになりました。

お茶して元気が戻ったところで、ぶらぶらとピカデリー方向に歩き、 東インド会社に。

もちろん歴史の教科書に載るあの植民地時代の会社が そのまま続いているわけではありません。
インドの反乱で解散し女王陛下に返上されていた商標を、 正式に継承したインド人実業家が2010年に復活させたそうで、 豪華な包装の紅茶や珈琲、スパイシーな香料を生かしたお菓子などが評判とのこと。

そして、ここにしかない特別な紅茶があります。

アールグレイは、1873年に植物学者のサー・ジョージ・スタントンが ネロリオイルで香りをつけたオレンジ風味のブレンドティーを作ったことにはじまるのですが、 イギリスでは手に入らないため同じミカン科ベルガモットで香り付けをし、それが一般的なレシピになっています。
それに対して、ネロリオイルとベルガモットオイルをそれぞれ1パーセントずつ使用して本来の味に近づけたものを、 スタントン・アールグレイとして販売しているのです。

このスタントン・アールグレイを買いに行こうと予定に入れたのですが、 実は日本でも買えるだけでなく、アマゾンの方がお安いという衝撃の事実を直前に知ってしまったので、 茶葉の購入はやめて、歴史的に有名な名前と、珍しいお菓子の試食を楽しみに覗いてみることにしました。

珈琲も種類があるし、評判通りのクッキーやチョコレートがいっぱい。
お菓子類はどれも試食ができて、紅茶もお願いすれば試飲できます。
シーソルト＆キャラメルのクッキーと珈琲ビーンズのチョコレートが気に入ったのですが、 お土産として持って歩くのは難しそうなので、 明日のおやつにマジパンでくるんだアーモンドチョコを買いました。

素敵な茶器もいろいろ見られたし、女王陛下夫妻が記念植樹した農園の紅茶があったり、 行ってみてよかったです。

向かいにあるのはリバティ・ロンドン、1875年に創業されたイギリスを代表する老舗百貨店です。

ここの特徴は3つあります。
建物がロンドンの代表的なチューダー・リバイバル様式のひとつで、 イギリスの第2種指定建造物に指定されていること。
ポール・スミスなどのメジャーなものから、新進気鋭のデザイナーまで、 イギリスの最新ファッションブランドが楽しめるデパートであること。
そしてリバティ・プリント、リバティ・ファブリックと呼ばれる独自ブランドの生地があること。

店内は芸術的な装飾が吊り下げられた３ヵ所の大きな吹き抜けがあり、 囲むように売り場が配置されています。 こちらもハロッズ同様エレベーターで最上階に行き、関心のある４階と５階を見てから、 床のきしむ木の階段を、壁の浮き彫りや彫刻などを楽しみながらゆっくりと降りました。

最上階の５階はインテリアのフロア、 リバティ・プリントを使用したソファと装飾など、個性的で、見て歩くだけでも楽しいです。
４階は、生地と雑貨と食器のフロア、ここが一番行きたかったところ。
リバティといえば、「リバティ・プリント」ですが、それに使われる、 まるでシルクのようなツヤと手触りを持つコットンが「タナローン」生地です。
タナローンは、1920年代のシルク価格の高騰がきっかけで、 誰もが使える価格で、絹のような感触の生地として開発されたそうで、 スーダンのタナ湖付近で採取された超長綿を使われてることからその名がついたそうです。

生地は136cm幅とはいえ、1m が22ポンド、けっこうなお値段ですね。
ワンピースかスカートを作ってもいいなと思っていたのですが、 どうしてもっていうほどに惹かれる柄がなくて見送りました。
端切れのセットもあったけど、パッチワーク向きの大きさで、こちらもパス。
代わりに小物、リバティ柄のりんごのピンクッションとメジャーを買いました。

今日は日曜日なので、サンデーローストを食べに、ロンドン最古といわれるレストランに移動します。

今日はいっぱい歩いたので、メトロで移動、すぐそばのオックスフォードサーカス駅からワーテルロー線に乗り サザンプトンストリートコベントガーデン駅を出るとすぐお店です。

ルールズ・レストランは、元々はオイスターバーであったロンドン最古のレストラン。
ゲーム料理という英国伝統の狩猟で獲れた動物の肉料理も有名だそうです。
インテリアはその時代のままということで、ダウントンアビーの撮影などにも使われ、 一番奥の大きな絵がある席に「M」が座っていたシーンは007のスペクターにあります。

こちらで有名なのはローストビーフ、イギリスでは普段毎日食べるものではなく、 サンデーローストといって、日曜日に食べるいろいろなお肉のローストの一つです。

美味しそうなお料理もいろいろあるのですが、 ローストビーフのボリュームがすごいと聞いていたので、 スターターに牡蠣を２個ずつだけ頼み、ローストビーフを待ちました。

運ばれてきたローストビーフは確かにすごい量、 そして上に乗っているヨークシャプディングの巨大なこと。
でも絶妙の焼き加減で柔らかく美味しいのです。
ローストビーフを食べるならここ、と絶賛する方がいるのも納得です。
ワインを飲みながらおしゃべりしつつ口に運んでいるうちに、すっかり完食です。
さすがにデザートはあきらめました。

明日はストーンヘンジのツアー、早起きしなくちゃ。

＊これは想像上の旅行記です。
コロナウィルスによるパンデミック以前の情報から構成してありますので、
現実とは異なったものであることをお断りしておきます。